介護現場におけるハラスメントの防止・対策について
地域包括ケアシステムを推進していく上で、介護人材の確保は大変重要な課題であり、介護職員が安心して働くことができるよう、ハラスメント対策を含む職場環境・労働環境の改善を図っていくことが必要です。
このため、令和3年度介護報酬改定においては、パワーハラスメント及びセクシャルハラスメントなどのハラスメント対策として、介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策として必要な措置を講ずることを義務づけました。
併せて、カスタマーハラスメントについては、その防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることを推奨しています。
法律の改正
令和7年6月11日に労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)が公布されました。
本改正により、カスタマーハラスメントや求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務となります(令和8年10月1日施行)。
また、令和8年2月26日にカスタマーハラスメント防止指針及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が公布されました。
「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」
平成30年度に厚生労働省から公開された「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」が改訂されました。各介護事業者の皆さまにつきましては、本マニュアルをご確認いただいたうえ、必要な対策を講じていただきますようお願いいたします。(令和3年度改訂)
介護現場のハラスメントを防止するために介護事業者が取り組むべきこと
介護現場におけるハラスメント対策を進めるためには、介護事業者として職場内及び介護サービスの現場を含めてハラスメントのない環境づくりに取り組むことが不可欠です。そのためには、以下の取組みが大切です。
(1)事業者として、ハラスメントに対する基本的な考え方やその対応について事業運営の基本方針として決定するとともに、それに基づいた取り組み等を行うこと
(2)こうした基本方針を職員と共有するとともに、職員が、管理者等に相談した場合に、誰に相談しても、事業者として同じ対応ができるように、事業者内での意識の統一が必要です。また、契約時等に利用者や家族等にも周知していくこと
(3)ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化、発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有などの取り組みや環境の整備を図っていくこと 等
高齢者虐待の防止について
令和3年度介護報酬改定により、高齢者虐待防止のため、委員会の開催、指針の整備、研修の実施及び担当者を定めることが義務付けられました(令和6年3月31日までは努力義務。令和6年4月1日より義務化)。利用者・ご家族からのハラスメントだけでなく、職員から利用者に対する虐待も含め、誰であっても、誰からも、ハラスメントや虐待を受けることがない介護サービス提供の環境づくりにご協力ください。
介護現場のハラスメントに関する利用者との契約上の取り決め
介護事業者が利用者と介護サービス提供の契約を締結する際には、契約書及び重要事項説明書の記載内容を丁寧に説明し、介護サービスとしての提供範囲やサービス利用にあたっての留意事項について御理解いただいた上で、契約することが重要です。令和4年3月に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会資料におきましても、利用者・ご家族等からのハラスメントに対するサービス提供拒否等に関する記述がありますのでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24316.html(外部リンク)
全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会資料の内、「認知症施策・地域介護推進課」の51から54ページにハラスメント対策推進に係る記述があります。
以下は、介護現場でのハラスメント対策として、重要事項説明書に記載する内容の一例です。本重要事項説明書の記載例を参考にされる際は、以下の「注意事項」をよくお読みいただき、事業者の責任のもとご活用ください。
2026年度から義務化されるカスハラ対応
2026年度(令和8年度)の介護報酬改定および運営基準の改正により、すべての介護事業所に対して「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化」が課せられます。介護事業所が必ず講じなければならない措置は以下の4点です。
(1)基本方針の明確化と周知
カスハラに対する企業の姿勢(基本方針)を策定します。「どのような行為をカスハラとみなすか」「カスハラには毅然と対応する」といった方針について、従業員だけでなく利用者側に対してもHPや事業所内などで周知します。
(2)相談体制の整備
被害にあった、または、被害にあいそうになった従業員が、相談できる窓口を設置します。相談者のプライバシーを保護し、相談したことによる不利益な取り扱いの禁止をする必要があります。
(3)被害発生時の迅速・適切な対応
事案が発生した際、被害を受けた従業員のメンタルケアを行い、組織として迅速に対応する体制を整えます。現場の担当者1名だけで抱え込まないようにすることが大切です。
(4)再発防止策の実施
発生した事案の要因を分析し、マニュアルの改訂や現場の対応改善など、同様のトラブルが起きないための措置を講じます。
カスタマーハラスメントとは
「正当なクレーム」と「カスハラ」の境界線を明確にすることが、対策の第一歩です。カスハラは、社会通念上、許容される範囲を超えた以下の言動が対象となります。
| 精神的な攻撃 | 暴言、侮辱、ひどい暴言を吐く |
| 威圧的な言動 | 脅迫、大声で怒鳴る、土下座の強要 |
| 拘束行為 | 不必要な長時間の電話や居座り、執拗な言動の繰り返し |
| 過度な要求 | 契約外のサービス強要 |
| SNSでの嫌がらせ | 従業員の氏名や顔写真などの個人情報をSNS拡散 |
運営規定や重要事項説明書への記載
義務化をクリアするためには、「運営規定」や契約時に利用者・家族に説明する「重要事項説明書」への明記が必要となります。
| 項目 | 運営規定・重要事項説明書への記載内容 |
| ハラスメントの禁止 | 利用者およびその家族等は、介護職員等に対し、その尊厳を傷つける行為、暴言・暴力、セクシャルハラスメント、その他適切なサービス提供を妨げるカスタマーハラスメントを行ってはならないものとします。 |
| 事業所の措置・対応 | 万が一、前項に該当する行為が認められた場合、介護事業所は速やかに事実関係を調査し、行為者に対して文書等による警告を行います。また、職員の安全確保のために複数名での訪問体制への切り替えや、サービスの臨時停止措置を講じることがあります。 |
| 契約解除に関する事項 | 利用者またはその家族等によるカスタマーハラスメント行為が改善されず、信頼関係が著しく損なわれ、安全かつ適切なサービス提供が困難であると判断した場合は、介護事業所は本契約を解除することができるものとします。 |
重要事項説明書や契約書などの記載例
千葉県における介護事業者向けカスタマーハラスメントの無料法律相談窓口について
千葉県では令和6年12月11日から、千葉県内にある介護事業所・介護施設をマネジメントする立場にある方(管理者、施設長)を対象に、カスタマーハラスメントの無料法律相談窓口の受付を開始しています。
なお、実際に相談いただく際には、ハラスメントを受けている職員の方も同席いただけます。
また、以下の要件をいずれも満たす案件を対象とします。
(1)介護現場における案件であること
(2)利用者本人又はその家族等によるカスタマーハラスメントの案件であること
その他の詳細については下記のリンクを御確認ください。
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更新日:2026年09月04日