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文化財コラム
文化財コラム
広報に連載している文化財コラムを掲載しています。
【第1回】太東海浜植物群落
太東海浜植物群落は、夷隅川河口(岬町和泉)の海岸沿いに位置し、初夏にはハマヒルガオやスカシユリなどの海浜植物が多く見られます。群落は、1920年(大正9年)に日本で最初の国の天然記念物として指定を受けました。指定当初は、5ヘクタールに及ぶ広大な砂浜と砂丘、海浜特有の見事な植生がありました。しかし、激しい海食により海岸線が100メートル以上後退したため、現在の面積はわずか0.5ヘクタールとなり、かつての群落の大部分は消失してしまいました。
しかし、今なお、イソギク、ハマエンドウ、ボタンボウフウなどの海浜植物が見られるほか、草本群落の奥にはマサキやトベラなどの低木類が生育するなど、海浜特有の植生が成立しているのがわかります。近年、群落には多くの帰化植物が入りこみ、無断で群落内に進入、観葉植物が植栽されるなど、人による影響も少なくありません。郷土に残る貴重な群落を大切に見守っていきたいものです。
【第2回】ミヤコタナゴ
ミヤコタナゴは、世界中でも日本の関東地方だけにしか分布していない、コイ科タナゴ亜科アブラボテ属の魚です。現在、野外で生息しているのは、千葉県と栃木県の一部に限られています。このため、種の保存法という法律により「国内希少野生動植物種」に、また文化財保護法により「国指定天然記念物」に指定され、法律によって保護されています。
ミヤコタナゴは特に生息地を定めず指定されていますが、丘陵地などの湧水を源とする細流が本来の生息場所といわれ、県内では茂原市、夷隅川上流の勝浦市や御宿町、いすみ市内でその生息が確認されています。近年、外来種であるタイリクバラタナゴやアメリカザリガニの増加、生息環境の悪化などにより、ミヤコタナゴは急激に減少しており、その絶滅が強く危惧されています。
いすみ市では、ミヤコタナゴ保護増殖施設を設置し、人工授精などを行っているほか、年4回の定点観察を実施、自然環境の中での生息状況の把握に努めています。また、ミヤコタナゴが自然の中で増えていくには、生息地域における地元の方々の理解と協力が欠かせません。密漁防止のため、生息地域周辺の巡視活動をしていただいているほか、草刈や、用水路の補修時にはなるべく自然の形状を維持してもらうなど、良好な環境の保持には、地元の方の協力によるところが大きいといえます。かつてはどこにでもいたといわれるミヤコタナゴ。生活環境の変化により絶滅の危険にさらされているこの小さな生き物がいつまでもいすみで見られるよう、環境のあり方を考えていきたいものです。
【第3回】大聖寺不動堂附厨子(だいしょうじふどうどうつけたりずし)
大聖寺は、山号を阿舎羅(あしゃら)山という天台宗のお寺です。大原漁港にほど近い高台にあり、古くから「浪切り不動」と呼ばれ、漁業関係者の信仰が篤いお寺で、関東三十五番札所としても多くの巡礼者が訪れています。
不動堂は、寺伝によれば宝治2年(1248)、地元の漁師の妻が海草を採っているとき海中で不動明王像を発見し、安置したのがはじまりとされています。現在の堂の大きさは正面3間(約5.4m)、側面3間で、屋根は茅葺の寄棟造(よせむねづくり)です。軒は二重繁垂木(にじゅうしげたるき)、正面中央は浅唐戸(さんからど)、両脇及び側面は舞良戸(まいらど)と板壁になっています。また、組物についた拳鼻(こぶしばな)、頭貫(かしらぬき)の木鼻(きばな)、蓑束(みのつか)、板蛙股(いたかえるまた)など禅宗様を主とした和洋の折衷様式を示しています。建立年代は室町時代と推測されますが、宝永5年(1708)頃に岬町鴨根の清水寺から移築されました。堂内には本尊の石造不動明王を安置する厨子もあります。厨子の建立年代も明らかではありませんが、形式などから室町時代末期の作と考えられます。現在、国指定重要文化財に指定されています。
【第4回】埋蔵文化財
文化財にはいろいろな種類がありますが、地中にある状態の文化財を「埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)」と呼びます。埋蔵文化財は地下に埋まっているため、掘り出して調査をしなければどのような価値のものなのかわからないという、ほかの文化財とは違った性質をもっています。このため、すべての埋蔵文化財が法律的な保護の対象となっています。
埋蔵文化財には、地下に埋まっている建物跡・水田跡など、過去に人が住んでいたことをものがたる「遺構(いこう)」と、人が製作・使用した道具(土器や石器など)や工芸品などの「遺物(いぶつ)」があります。この遺構・遺物を分析することで、当時の生活の様子や活動が推測できるのです。日本列島には、旧石器時代から近・現代までの遺跡が残っていますが、このうち旧石器時代から縄文・弥生時代、そして古墳時代については、文字として残された史料がほとんどありません。当時の様子を知るには、この埋蔵文化財に頼らなければならないのです。
土器などの破片が確認されたり、地形などから過去に人と関わりがあるとみられる地域は、埋蔵文化財があると推測されるため、「包蔵地(ほうぞうち)」として、土木工事を行う場合などに届出が必要になります。これは、埋蔵文化財が一度破壊されると二度と復元することができないという性質のためです。埋蔵文化財は土地と深い関わりを持ち、私達の過去を知る手がかりとなる貴重な遺産といえます。
| お問い合わせ | いすみ市役所 教育委員会 生涯学習課 | 電話番号はこちら | ![]() |
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